日本においても年間100〜300件程度の誘拐が起きていると報告されている。また、行方不明とされる事件の一部は略取誘拐によるものかもしれない。
この絵本は、あかね書房の「じぶんでじぶんをまもろう」という3部作の第一作だ。絵本という体裁ではあるが、見開きごとにエピソードと、それを解説したページとが繰り返される。登場するエピソードは、「公園でいつも見るお兄さんにゲームに誘われたら」「境内で遊んでいたら、犬を一緒に探してほしいと言われた」「知らないおじさんに道を聞かれ、そのまま案内してほしいと言われた」など、いかにもありそうなエピソードである。そして誘惑する大人として登場する人物も、若い男性や中年男性だけではなくやさしそうなお姉さん、おばさんなど多彩だ。いかにもな悪人として描出はされておらず、「本当は良い人かもしれないけど、知らない人だから分からない」という点が強調されている。普段会うような人が、悪さをする人かもしれないというのは悲しいことではあるが、身を守る考え方でもある。話しかけられたら最初から無視して逃げるのではなく、いつでも逃げられるように少し距離は保ちつつ、最初は丁寧に応対し、違和感があればすぐに走って逃げること、というスタンスで解説されており、現実的な対策だろう。
また、本文中に「大人の力は思ったより強い。お父さんやお母さんに、逃げられないように掴んでもらい、逃げられるか確かめてみよう」といった文があった。逃げられないように手首を掴むことを事前に伝えた上で手首を掴み、逃げ出そうとしてもらった。当然逃れることはできなかったのだが、逃げられなかったことに驚いた顔をしていたので、今まではあまり力の差を感じていなかったのだろう。試してみた価値があった。
特に一人で行動することがぐっと増える小学校入学前に、何度も読んで伝えておきたい絵本だと思う。残りの2冊はまだ買ってないが、ぜひ読んでみたい。
また、性教育としてプライベートパーツの重要性を伝えていくことが、性犯罪を防ぐ上でも重要ではないかと考える。
→ 『おうち性教育はじめます』は性教育に悩む親にとって良い本だった