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信託報酬0%の 野村スリーゼロ先進国株式は期待できるのか?

投資

野村證券が信託報酬0%のファンド「野村スリーゼロ先進国株式」を発表しました。

野村證券のつみたてNISA口座専売で、向こう10年の信託報酬を0%にするというものです。つみたてNISAの枠が年間40万円ですから、たとえ値上がりしたとしてもその信託報酬はあまり大きな額にはなりません。正直なところ野村證券でつみたてNISA口座を開設させるためだけの商品ですが、どのような成績が期待されるかマザーファンドの運用成績を確認しました

また、不当廉売に当たるのではないかと指摘されている方もいます。

インデックスファンドを選ぶ上では、信託報酬に現れない2つのコストを意識する必要があります。

それは、
・売買手数料、保管手数料などの実質コスト
・指数との乖離
です。

野村スリーゼロ先進国株式の概要

野村證券によるプレスリリースはこちらです。また、EDINETにも詳細な資料がアップされています。

重要なポイントを抜き出すと、

  • 積立契約開始日:2020年3月16日
  • 委託会社:野村アセットマネジメント株式会社
  • 販売会社:野村證券
  • 受託会社:野村信託銀行
  • ベンチマーク:MSCI-KOKUSAI指数(円換算ベース・為替ヘッジなし)
  • マザーファンド: 外国株式MSCI-KOKUSAIマザーファンド

運用会社報酬、販売会社報酬、信託銀行報酬の3つがゼロで「スリーゼロ」ということですね。

野村スリーゼロ先進国株式の兄弟ファンドは?

同じく外国株式MSCI-KOKUSAIマザーファンドを主要な投資先とするベビーファンドとしては、

・野村インデックスファンド・ 外国株式 愛称:Funds-i 外国株式
・野村外国株式インデックスファンド・MSCI-KOKUSAI(確定拠出年金向け)
・野村つみたて外国株投信

などが挙げられます。「 野村外国株式インデックスファンド・MSCI-KOKUSAI(確定拠出年金向け) 」の運用報告書から、外国株式MSCI-KOKUSAIマザーファンドの詳細を確認しました。

そしてMSCI-KOKUSAI指数(円換算ベース・為替ヘッジなし) をベンチマークとする、

・<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド
・eMAXIS 先進国株式インデックスファンド

と比較しました。

信託報酬外の実質コストは?

マザーファンドにおける費用明細を確認しました。売買委託手数料や有価証券取引税、保管費用などを合わせた、 2019年決算における信託報酬外のコストは0.028%でした。これは平均的な数字と言えそうです。

マザーファンドの指数との乖離が大きい?

野村證券・ 外国株式MSCI-KOKUSAIマザーファンド

野村外国株式インデックスファンドDC・MSCI-KOKUSAI 運用報告書より

ニッセイ・外国株式インデックスマザーファンド

ニッセイ 外国株式インデックスファンド運用報告書より

三菱UFJ・外国株式インデックスマザーファンド

eMAXIS 先進国株式 運用報告書より

ニッセイのみ半年ごとの決算なことに注意は必要ですが、 三者を見比べてみると、 年間でのベンチマークとの乖離は

  • 野村:-0.2~-0.4%
  • ニッセイ:±0.2%
  • 三菱UFJ:+2~3%

といった程度でしょうか。三菱UFJのプラスの乖離は、ベンチマークとして配当無しの指数を用いていることからくる配当の影響と説明されていて、手数料や保管コストなどによるマイナスの乖離は0.1%程度、と記載されていました。

ベビーファンドにおける2019/2/25~2020/2/25までの年間騰落率を比較すると、

  • 野村外国株式インデックスファンド・MSCI-KOKUSAI(確定拠出年金向け) :+14.56%(配当金込、税引前)(信託報酬 年0.154% )
  • ニッセイ:+14.60%
  • eMAXIS:+14.02%
  • eMAXIS slim:+14.65%
  • (参考)たわらノーロード先進国:+14.54%

と、理由は分かりません😅が、マザーファンドの騰落率から想定していたよりも差が少ない結果でした。ほぼ信託報酬に相当する程度の差が生じている印象です。もし信託報酬の0.154%がそのまま0%となれば、14.71%となり一番成績がよかったかもしれません。とはいえ eMAXIS slim もさらなる信託報酬の引き下げを発表していますし、その差は0.1%以下に留まるものと思われます。

結局

証券口座が増えることやNISA口座の切り替えの手間と比べると、そのメリットは微々たるものかもしれません。信託報酬以外のコストや、ベンチマークとの乖離なども考えるとその差が逆転されることも大いにありえます。

オススメするとすれば、強いて言えば今からNISA口座を開設する方ですが、もし全世界S&P500などに連動するファンドへ投資したくなっても、野村證券のNISA口座ではローコストファンドの選択肢が限られているのが難点です。また、野村證券では楽天証券での楽天カードによるポイント付与や、SBI証券のマイレージサービスに相当するサービスもないようです。

来年以降に、指数と一致していて実質コストが他の追随を許さないほど低いなどのよほどの実績がなければ、このファンドに投資するために野村證券を積極的に選択する意義は乏しいと考えます。

しかし、すでに野村證券でNISA口座を開設している方にとっては大きな福音かもしれません。

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