オックスフォード大学で教員を務め、多くの企業の取締役を歴任し、20年間Financial Timesに寄稿し続けたコラムニストでもあるジョン・ケイによる一冊。
基本的には節約して入金力を高め、低コストファンドで分散投資せよ、というロジックである。
それはよくある話なのだが、この本では「逆張り投資」を勧めている。市場のタイミングを見極めるのは難しく、個人投資家はアンダーパフォームしがちであるから、彼らの逆をせよ、というわけだ。そして個別株での逆張りは大変なので、大まかな資産アセット・配分ごとに逆張りを勧めている。
時価総額加重型では、加熱しているアセットの配分が多くなってしまう。その例として著者は1980年代の日本を挙げていた。当時は全世界の時価総額の約半分を日本が占めるという異常な状況だった。これは日本のGDPが世界全体の10%程度であったことを考えると、明らかに過剰だったとのこと。そして、著者はGDPなどの何らかのファンダメンタルに比例するファンドを勧めている。
なお、国内で購入できるGDP連動型の投資信託としては、The GDPというそのもののファンドがあるが販売会社が限られていてネット証券では購入できない。三井住友TAMの世界経済インデックスファンドは債権を含んだファンドだが、株式部分はその年のGDP比率に準ずるように毎年リバランスされる。株式シフト型、バランス型、債権シフト型と株式の割合を選べる。株式シフト型を選べば80%株式なので悪くない選択肢である。ただ、信託報酬が0.55%とインデックスファンドにしてはやや高めなのが悩ましい。
また、そもそも株価はGDPの成長率を”織り込んだ”価格になっており、各国におけるGDPの推移と時価総額の推移はあまり一致しないという話もある。そこはお好みで。