もしブルーバックスの中から1冊勧めるとしたらこの本、とも言えそうな古典的な名著である。ふざけたタイトルで読みやすい本だが内容は大真面目だ。棒グラフで実際の差以上に差を感じさせるグラフの描き方など、いかに数字で騙すかが実例とともにふんだんに紹介されている。
驚くべきは、この本が1954年に出版されたということだ。ブルーバックスの訳書の出版が1968年である。そこから半世紀以上が経過した今、このようなウソは駆逐されただろうか。
学術的な場面では流石にこのような誤謬をみかけることは殆どないのだが、メディアでは不適切なグラフ・図示はまだまだ多くみかける。この本に載っている例はどれも出版当時の例だが、読みながら最近の類似例をいくつも思い浮かべることができるのではないだろうか。
そして第8章のテーマである相関を因果と捉えてしまうことは、相当慎重になっていても陥りやすい誤りである。
全国の中高校生や、教養課程の大学生に勧めたい1冊である。